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2005年8月24日  トレンドウォッチ


加速する風力発電事業〜中国における風力発電の現状と今後〜


(NTTデータ経営研究所 チーフコンサルタント 青野 雅和)

1. 事業化の推進を再生可能エネルギー法が後押し

  平成17年2月28日、中国の第十次全国人民代表大会常務委員会は、第十四次会議にて、「再生可能エネルギー法(再生可能エネルギーの範囲は日本では新エネルギーの定義と考えて良い(小水力を含む))」を公表した。施行は平成18年6月1日の予定である。
  本法は(1)再生可能エネルギーの開発利用を促進し、(2)エネルギー供給の増加、(3)エネルギー構造の改善、(4)エネルギー安全の保護、(5)環境の保護による経済社会の持続可能な発展の5つを目的とするものである。具体的な数値として、2010年までに再生可能エネルギーの総量を一次エネルギー消費の10%、トータルで60GW(小水力発電50GW、風力発電4GW、バイオマス発電6GW、太陽光発電450MW を含む。)の目標を打ち出している。日本の2010年までの新エネルギーによる電力の供給が一次エネルギー消費の3%であるので、約3倍強の目標値となるわけだ。また、国家発展・改革委員会能源研究所では、2010年までに風力・太陽熱・メタンガス発電・小水力の完全商業化を図るとしている。中国でのCDM事業の拡大と重なり、こうした政策が中国における再生可能エネルギーの普及を推し進めていくと推測される。本稿では、この再生可能エネルギーの内「風力発電」に焦点を当てて、最近の動向について報告する。


2. 中国における風力発電所の設置状況

  中国における風力発電は、1986年に風力発電所の建設が開始されたことに始まる。1994年に新疆ウイグル自治区において10MWを超える大規模ウィンドファームが出現し、国家電力工業部は2000年までに1000MWを建設する目標を打ち立てた。(実際には2000年の風力発電設置容量は344.3MWとなっている。)
  2003年時点における風力の設置状況は、広東省、新疆ウィグル自治区など、14の省(自治区含む)の40サイトにおいて設置台数1042台、発電設置容量567.02MW。今後は大規模の発電事業が加速すると推察される。

  また、海南省人民代表大会への海南金石経済発展公司の報告によると、江蘇(こうそ)省・南通(なんつう)市・如東県で発電能力820MW(計画ベース)に達するアジア最大の風力発電所が建設されていると紹介している。第1期では1.25MWを80基設置し、合計100MWのウィンドファームが建設中だ。今後は第2期で150MW、第3期では600MWの洋上発電所を建設する計画であり、総発電容量は850MWとなる。日本でも最大級の宗谷岬ウィンドファームで57MWであるから、約15倍の規模となる。
  さらに、計画段階ではあるが100MW規模のウィンドファームは数多く存在する。例を挙げると、広東省恵来石碑山風力発電所の100MW(2003年国家発展改革委員会の国家モデルプロジェクト、一部稼動開始)、江蘇省塩城東台風力発電所200MW、山東省青島即墨風力発電所150MW、甘粛省酒泉安西風力発電所100MWなどがある。

3.風力発電のトリガー

(1)国産化が進む中国の風力発電
  1996年に国家計画委員会(現在の国家発展改革委員会)において提案された第10次5ヵ年計画では、大型風力発電機の国産化比率向上を目指す「乗風計画」が策定された。このなかで国産化と設備単価の低価格化が推奨されている。これを受けて国産化が進んでおり、現在の主力は600kWであるが、1MWまでは国産化が可能となっている。なお、国産化風力発電の生産が活発化したのは2003年である。200kW、250kW、600kW、750kWの4機種を生産している。2003年は市場の15.35%を占め、2003年の新規建設計画においては33.46%を占めている。前述の惠来石山の100MWのプロジェクトはその一部だ。NTTデータ経営研究所が実施した風力発電企業へのヒアリングによると、今年度末には1.2MW、最終的には2.5MWまでの生産が可能になるという。
  なお、設備価格においては、第10次5ヵ年計画では、2010年には国産化率70%を目標としている。600kWの風力発電設備では、海外の風力発電設備と比較し36.13%の価格削減となっている。海外製品との価格競争に耐えうる力をつけ、着実にこの目標に向けた歩みが進んでいると考えて良いだろう。

(2)固定買取り価格の実施
  来年6月1日施行予定の再生可能エネルギー法の草案によると、風力発電に限らず、系統連携を行う再生可能エネルギーは、事業開始後3万時間(約3.4年)は電力配電会社の固定価格での買取りを義務化している。3万時間以後も電力会社の買取り義務は継続し、価格のみ市況価格と連動させるとしている。
  例えば、NEDO海外レポートによると、広東省は風力発電ネット価格を0.528元(税込) /1kWhにしたと報告している。この価格は前述の惠来石山の風力発電事業の入札電力価格の0.5013元/1kWhよりもさらに高いものとなっており、風力発電事業者の経営を支援した形となっている。

  このように、国産化による設備価格の低価格化と電力の固定価格での買取り義務が、事業化への判断を促し風力発電事業を進める要因の一つと言えそうだ。また事業を大規模化することで、事業運営上におけるスケールメリットの恩恵を受けていると思われる。

4.計画が進む洋上発電

  日本では、北海道瀬棚町において平成17年4月より600KW×2台で日本初の洋上発電所の運用が開始された。中国において運用が開始された例はまだ一つもないが、計画は数多く存在しており、それも大規模なウィンドファームの計画が多い。
  例を挙げると、広東省の南澳島では複数のプロジェクトが存在し、合計で200MWとなる。また新華社によると国華能源(能源はエネルギーの意味)投資公司が河北省の○(○は、さんずいに倉)州市に1000MWの洋上発電所を建設すると伝えている。
  洋上発電を既に数多く運営しているデンマークの風力発電メーカは既に中国へも進出しており、今後、中国では洋上の風力発電に脚光が当たっていくと言えそうだ。


    *備考(全体に使った資料等)
  •  NEDO海外レポート No.950、No.961
  •  NTTデータ経営研究所 中国環境快信84号
  •  海南金石経済発展公司の海南省人民代表大会への報告資料

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