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2008年04月24日  環境ビジネス最前線


鉄鋼業界に見る温暖化対策の最新動向  1/3

(NTTデータ経営研究所  社会・環境戦略コンサルティング本部
パートナー  村岡 元司)
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<概要>

  わが国最大規模のCO2排出者である鉄鋼業界の温暖化防止への取組みは、わが国製造業の縮図である。もともと高いエネルギー効率、資源制約と生産量の増加。厳しい条件の中でどのようにポスト京都まで含めた温暖化対策を実現していこうとしているのか。その最新動向をレポートする。

  1. 鉄鋼業界の温暖化対策 第一約束期間は達成可能か?
  2. 鉄鋼業界の温暖化対策 ポスト京都に向けての戦略
  3. 技術で世界を牽引できるか
<関連キーワード>
  温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度、自主行動計画、
  セクトラル・アプローチ、Cool Earth-エネルギー革新技術計画
<企業>
  JFEスチール、新日鉄、住友金属工業

1.鉄鋼業界の温暖化対策 第一約束期間は達成可能か?

  平成20年3月28日、地球温暖化対策推進法に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による平成18 年度温室効果ガス排出量の集計結果が公表された。報告の対象者は、事業活動に伴い相当程度多い温室効果ガスの排出をする者(特定排出者。国又は地方公共団体を含む。)で、毎年度、事業所ごと(輸送事業者については事業者ごと)に、温室効果ガスの排出量等を事業所管大臣に報告することになっている。
  公表された集計結果(あくまで特定排出者の集計結果であり、温室効果ガスの全排出量とは異なる)を業種別に見てみると、主たる事業が「製造業」の事業所からの排出量が最も多く集計合計値の88.3%を占めている。そして、製造業の中で、排出量が多かったのは、多い順に、鉄鋼業、化学工業、窯業・土石製品業となる。

図1  集計された全温室効果ガス排出量合計
図1
(出典:「地球温暖化対策推進法に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による平成18 年度温室効果ガス排出量の集計結果」(平成20年3月28日 環境省地球環境局地球温暖化対策課 経済産業省産業技術環境局環境経済室)

  集計結果の中には個別企業の事業所からの排出データも含まれており、公表後、"(排出量の多い企業は、)東京電力、JFEスチール、新日鉄の順で、上位10位中7社は電力会社"等のニュースが、新聞記事を賑わすこととなった。
  このニュースからもわかるとおり、鉄鋼業界は、わが国の中でも温室効果ガス排出量、特にエネルギー起源CO2の排出量が多い業界なのである。高張力鋼、電磁鋼板、表面処理鋼板等の付加価値の高い鋼材の開発・製品化で世界の先頭を走るわが国の鉄鋼産業は、ここ数年の景気回復の中で、最も大きく、その存在感を回復した業界の一つといっても過言ではないだろう。
  ただ、その行く手には、鉄鉱石や石炭等の資源価格の高騰に加え、CO2排出量の削減という大きな課題が立ちはだかっている。国内最大規模のCO2を排出している現状を踏まえ、今後、どのように対処していくのか、本稿では、鉄鋼業界における温暖化への取り組みの最新動向をレポートする。
  まず、鉄鋼業界の自主行動計画における温暖化対策の概要を整理しておこう。鉄鋼業の温暖化対策は以下の5つの対策から構成されている。

    (1)鉄鋼生産工程における省エネルギーへの取組み
    (2)廃プラスチック等の有効活用(集荷システムの確立を前提)
    (3)製品・副産物による社会での省エネルギー貢献
    (4)国際技術協力による省エネルギー貢献
    (5)未利用エネルギーの近隣地域での活用

  このうち、主として自社のみの努力により、自社の事業所等において実行される対策は(1)と(2)だ。
  (1)については、1990年度に対して、2010年度にはエネルギー消費量を10%削減(粗鋼生産1億トンレベルを前提)することを目標としている。他の製造業と同じく、鉄鋼業界では、1970年代から90年度までに3兆円、続く90年度から2005年度頃までにさらに1.5兆円の省エネ・環境投資を実施してきたとされる。その結果、エネルギー効率は世界トップレベルにあり、今以上の改善余地は、必ずしも大きくない。実績値として、2006年度時点では、1990年度に対して5.2%削減の状況となっており、目標達成に向けて、さらなる削減努力が求められている状況にある。

図2  90〜2006年度の省エネ対策とエネルギー消費変動要因
図2
(出典:(社)日本鉄鋼連盟 ホームページ)

  一方、(2)については、2010年度に100万tの廃プラスチック等利用目標を掲げて処理能力増強等に取り組んでいる。ただし、2006年度の利用実績は37万tであり、2000年4月の容器包装リサイクル法完全施行時点より、順調に利用量は増加していたが、2006年度は前年度より減少している。この背景には、中国等において大量の資源が必要とされ、廃プラスチック等でも資源性のある材料が海外に流出していることも影響しているという指摘がある。ここでも鉄鋼業界は、資源制約の壁に直面しているのである。
  資源制約の壁の他、中国等における需要の増大に伴う鉄鋼生産量そのものの増加もある。経済的には望ましい生産量の増加は、CO2の観点からは排出量増大につながる。このため、鉄鋼業界では、自主行動計画における温暖化対策目標達成のため、まさに補完的な対応として、CDM等の京都メカニズムの活用を視野に入れている。既に炭素基金等への出資により、クレジットを確保している企業も存在している。
  このように、わが国最大規模のCO2を排出している鉄鋼業界は、京都議定書に定める第一約束期間については、自主行動計画の温暖化対策目標達成に向けて一定の道筋をつけつつある。しかし、それだけで課題は終わらない。むしろ大きなハードルはその先にある。次に、ポスト京都に向けての鉄鋼業界の取り組みを見ていこう。

<引用文献>

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