企業情報 | エコロジーエクスプレス

2007年12月6日  環境ビジネス最前線


家電業界に見る環境ビジネスの最新動向  1/3

(NTTデータ経営研究所  社会・環境戦略コンサルティング本部
マネージャー  湯木 将生)
レポート内の前後ページへのリンクは、同一ウィンドウに表示されます。
 
<概要>

  家電業界全体の取り組みを紹介した後、再資源化率の低い廃プラスチックリサイクルの取り組みについて概観した。さらに、生分解性プラスチックの導入状況、環境適合設計の実施、携帯の3Rの状況等について概説した。

  1. 家電業界として取り組みは成功しているか?
  2. リサイクルの取り組み
  3. 環境に配慮した素材と設計の取り組み等
<関連キーワード>
  家電リサイクル、パソコン、携帯電話・PHS、
  生分解性プラスチック、環境適合設計
<企業>
  日立製作所、三菱電機、ソニー、NECグループ、
  東芝、NTTドコモ

1.家電業界として取り組みは成功しているか?

1-1.環境法の成功とは

  成功した環境法としてよく言われるのがマスキー法である。ご存知だろうか?1970年にアメリカのマスキー上院議員が提案した「大気清浄法改正法案(ガソリン乗用車の一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物の排出を当時の10分の1まで削減するという技術的にも厳しい内容)」で、彼の名前を取ってマスキー法といわれている。アメリカでは達成があまりにも困難なため自動車業界の反対にあって大幅に実施が遅れ、1974年に廃案になったものである。日本では同等の内容の規制が1978年に実施された。至難といわれた自動車排ガス規制に見事に対応したのが、当時4輪自動車から撤退すると言われていたホンダである。1972年には技術開発によりクリアしたばかりでなく、その技術を公開したのだ。この対応のすばやさと大胆さが、日本は省エネ、高品質で、故障もなく、信頼性が高いといった評判を勝ち得ていくのに役立ったといわれている。
  このときの経験から、法遵守だけでなく技術革新や経営方針の転換と相俟ってシナジー効果の発揮が期待されるようになったといっても過言ではない。

1-2.家電リサイクル法は成功しているのか?

  では、家電業界についてはどうだろうか?
  家電業界に対する環境法として、第一に思いつくのは家電リサイクル法であろう。本法はブラウン管テレビやエアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機を対象としたもので、買い替え時に小売店から配達してもらう流通システムが既に存在していたことを利用し、小売店に廃家電を引き取ってもらい、小売店はそれをメーカーに引き渡すといった市町村処理ルートとは別の循環物流システム(動脈・静脈物流を一体化)を構築した。
  これにより、家電メーカーに対象家電製品をリサイクル義務が生じ、同じやるのであれば、設計・製造段階から、環境に優しく、解体・リサイクルしやすい製品(最も部品情報を知っているのは家電メーカーでリサイクル施設からも情報が入ることにより、ネジをはずしやくしたり、プラスチック部材を工夫したりする等の工夫が容易に出来る)を製造しようといった意識が働き、3R(リデュース、リユース、リサイクル)が自ずと進むといった好循環スパイラルの仕組みが構築された。
  実際、家電リサイクル実績では2001年当初8,549千台だったものが、2005年度には1万1,614千台までメーカーに戻り、いずれの対象家電も再商品化基準(重量比で定めた再資源化割合で、エアコン:60%、テレビ:55%、冷蔵庫・冷凍庫:50%、洗濯機:50%)を大幅に上回り、その割合も増加傾向を示している。

表1  家電リサイクルの再商品化処理台数推移
表1
(出典:「家電メーカー各社による家電リサイクル実績の公表について」(環境省の報道発表資料(2002〜2007年)を参考にNTTデータ経営研究所作成))

表2  再商品化率の推移
表2
(出典:「家電メーカー各社による家電リサイクル実績の公表について」(環境省の報道発表資料(2002〜2007年)を参考にNTTデータ経営研究所作成))

  もちろん、問題がないわけではなく、見えないフロー(図1参照)や、不法投棄、リサイクル料金の透明化といった依然として存在している。しかし、実績から言って成功した法であることは間違いない(家電業界にとっては、リサイクル料金の透明化以外は責任の取りようのない問題である)。元々、製品アセスメントマニュアルを他の業界団体に先がけ策定(1991年初版)するなど環境意識の高い団体であるが、製品の軽量化、薄型化、長時間利用といった技術に特化するのではなく省エネルギー化、有害物質発生抑制、3Rの推進も同時に進め、各メーカーで環境への取り組み方針を定めたり、CSR報告書、環境報告書、ISO取得などに取り組んだりするなど、家電業界全体が環境経営を意識した事業展開がなされている。この点からも、リサイクルだけでなく、環境経営にも少なからず影響を与えた法として非常に成功した法と言ってよいだろう。

図1  使用済家電の全体推計フロー
図1
(出典:「使用済家電のフロー推計」(中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会家電リサイクル制度評価検討委員会産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会、電気電子機器リサイクルワーキンググループ第14回会合、平成19年9月28日))

1-3.その他家電製品の動向

  家電リサイクル法だけでなく、資源の有効な利用の促進法に関する法律(資源有効利用促進法)の改正に伴い、2001年より、事業所から排出される使用済パソコンの回収・再資源化がメーカーの義務となり、2003年より同法に基づいて、家庭用パソコンを再資源化するPCリサイクルが始まるなど、パソコンにおいても3Rの推進は重要となっている。また、加入者が1億人を超える携帯電話・PHSについては、形は小さいものの膨大な量が退蔵・廃棄される状況となっている。
  そこで、廃家電から回収されるプラスチックを新たな家電の素材として再び利用する自己完結型循環システム(以降、自己循環システムという)の現状、プラスチック素材自体の原料転換、パソコン、携帯のリサイクルの現状・課題等について整理する。

<引用文献>
  • 「インタビュー見直し議論は半年程度延長  より広い視野で検討へ」(月間廃棄物、2007年3月)

閉じる

株式会社NTTデータ

Copyright © 2000-2006 NTT DATA CORPORATION.